生理不順(月経不順)

月経とは、生理初日から次の生理が始まる前日までの日数のことをいいます。一般的には、この周期が25~38日の範囲内におさまります。この範囲から外れてしまっているときは、生理不順となります。月経周期などに異常がある場合は、周期が乱れる原因がないか調べる必要があります。原因を調べるために採血や内診、経腟超音波検査などを行います。月経周期を正確に把握するために基礎体温の記録も有効です。来院前にできる限り記録して持参してください。
基礎体温の測り方
- 起床
- 朝目が覚めたとき、すぐに起き上がらず布団の中で測ります
(計測する時間帯は、一定でなくてもかまいません) - 体温の測定
- 舌下に婦人体温計を入れて、口を閉じ測定します
- 体温の記載
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- その日の体温を目盛の線上に黒点で記入し、前日の点と線で結びます
- 月経の始まった日を必ず月経周期の第1日目にしてください
- なお、基礎体温表中の月経周期とは、月経の始まった日より次回月経の前日までの期間をいいます
- 月経の日は×印で表すか、赤く塗って表します
富士製薬のホームページより、基礎体温表をダウンロードいただけます。
基礎体温表ダウンロード|富士製薬
稀発月経
月経周期が38日より長い場合を稀発月経といいます。個人差はありますが、周期が39日以上になり、次の月経がなかなか来ないため、必要に応じて治療を行います。主な原因は、強いストレス、痩せ過ぎ、過度なダイエットなどによるホルモンの乱れです。このほか、多嚢胞性卵巣症候群などで排卵が起こりにくくなっているケースもあります。不妊の原因になる場合もあるので、必要に応じて婦人科をご受診ください。
頻発月経
月経周期が25日より早い場合を頻発月経といいます。このなかにも個人差があり、1カ月以内に2回も月経が来る方もいらっしゃいます。その結果、出血量も増えるため貧血になる場合もあります。更年期やストレスによるホルモンの乱れ、無排卵月経などによって引き起こされます。
無月経
妊娠していないにも関わらず、3カ月以上月経が来ない状態を指します。異常と判断される無月経には、原発性と続発性の2種類あります。このうち原発性無月経は、18歳を過ぎても初経が来ない状態であり、頻度は少ないです。原因としては、子宮や腟の形態異常、女性ホルモンの先天的な異常などが考えられます。一方、続発性無月経は比較的よく見られます。強いストレスや過度の運動、痩せ過ぎなどが原因となります。多嚢胞性卵巣症候群などの病気で起こることがあります。
過長月経
月経による出血の期間が長く続き、その日数が8日を超える状態のことを過長月経といいます。経血量が増えることにより、貧血になる可能性が高まります。主な原因は、子宮筋腫や子宮腺筋症など子宮の病気、無排卵周期症などです。
過短月経
月経期間が2日以内と短い状態のことを過短月経といいます。ナプキンを取り換える必要がない、おりものシートで足りるといった出血量の場合、過少月経の可能性があります。原因としては、ストレスや更年期で女性ホルモンの分泌が不十分であることが考えられます。
PMS(月経前症候群)
PMSとは、「月経開始の3~10日前から始まる精神的・身体的症状で、月経開始とともに減退ないし消失するもの」を意味しています。月経の直前にイライラする、気持ちが沈むといった精神症状が起こったり、頭痛、腹痛、乳房痛、食欲低下などの身体症状がみられたりします。しかし、月経開始とともに症状が和らぎます。なお、こうした症状が月経直前にあったとしても、すべてのケースで治療が必要なわけではありません。しかし、毎月のようにつらい症状がみられているときは、医療機関を受診するようお勧めいたします。
PMSの原因
PMSの詳しい原因はまだ分かっていませんが、生理に伴うホルモンバランスの変化が原因と考えられています。排卵の直前から黄体期にはエストロゲンやプロゲステロンが多く分泌される時期があるのですが、この期間の後半には女性ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質に異常を引き起こすことがあります。これによってPMSになるケースが指摘されています。このほか、ストレスなど多くの要因からもPMSが起こるといわれています。
PMSの治療法
PMSの治療では、主にお薬によって症状を改善させます。具体的には、漢方薬や低用量ピルを使用します。低容量ピルは、排卵を止め、女性ホルモンの変動をなくすことにより、つらい症状の軽減が見込めます。痛みなどの症状に対しては、鎮痛剤を使用します。また漢方薬は生理前に起こる腹痛やむくみ、便秘や軟便傾向、胸の張りなど様々症状に効果があります。漢方薬は低容量ピルや鎮痛剤との併用も可能なので、お気軽にご相談ください。