不妊症とは

不妊症のイメージ写真

不妊症とは、「妊娠を望む健康な男女が、避妊に関する行為をせずに性交をしているにもかかわらず、1年以上妊娠に至らない状態」のことをいいます。この場合、医療機関を受診して対応しないと、自然妊娠がほとんど期待できないケースが多いです。当院では、一般的な不妊症検査や治療を行うことができます。もしかして不妊かも、と考え始めたらまず受診していただき一度ご相談ください。また、当院では漢方薬の処方に関しても専門としておりますので、不妊治療と併用してご提案することができます。

まずはお気軽にご相談ください

不妊の原因は様々であり、1回の診察・検査で結論を出すことはできません。根気よく通院していただき、治療を進めていきます。基本的には毎回お二人で受診する必要はございませんが、不妊症は男性側・女性側ともに原因となることがありますので、お二人で治療や検査に向き合っていくことが大切です。また治療や検査を行う上で、入籍をされていることは必須条件ではありませんが、入籍をされていない場合は事実婚状態であることの確認が必要となります。

不妊治療・不妊検査について

不妊に関する治療と検査は、並行して行います。またそれぞれの検査は生理周期に合わせて適切な時期に行う必要があります。今後の治療や検査において大事な情報となりますので、受診を考え始めたら基礎体温の記録も始めましょう。初めて当院を受診される際は、治療や検査は出来るところから始めていきますので、生理周期にかかわらずいつ受診していただいても大丈夫です。

基礎体温の測り方

起床
朝目が覚めたとき、すぐに起き上がらず布団の中で測ります
(計測する時間帯は、一定でなくてもかまいません)
体温の測定
舌下に婦人体温計を入れて、口を閉じ測定します
体温の記載
  • その日の体温を目盛の線上に黒点で記入し、前日の点と線で結びます
  • 月経の始まった日を必ず月経周期の第1日目にしてください
  • なお、基礎体温表中の月経周期とは、月経の始まった日より次回月経の前日までの期間をいいます
  • 月経の日は×印で表すか、赤く塗って表します

基礎体温表の参考として、富士製薬工業様のホームページをご覧ください。

富士製薬工業|基礎体温表ダウンロード

当院で行う不妊検査

  • 血中ホルモン検査
  • 風疹抗体価
  • 超音波検査
  • 子宮卵管造影検査
  • フーナーテスト

検査を行う時期生理中(生理3~5日目がベスト)

生理中採血(血中ホルモン値・風疹抗体価)

血中ホルモン検査では、卵巣の働きを反映するホルモンや不妊や流産に関係するホルモン、抗ミュラー管ホルモン(AMH)を確認します。その他、検査を受けたことがない方には風疹抗体価のチェックも行います。

検査を行う時期生理後~排卵前

子宮卵管造影検査

子宮卵管造影検査により、卵管の通過性を確認します。卵管の通過性が悪い場合には体外受精が必要となることがあるため、治療方針を決めるための大事な検査です。
また、卵管に造影剤を流すことで卵管の通りが良くなるので、不妊を改善する治療効果も期待できます。実際、本検査施行後は妊娠率が上昇することが知られています。
子宮卵管造影検査を行うために、事前に甲状腺機能や性感染症の検査が必要となります。

具体的な方法

子宮内に造影剤を注入し、左右の卵管の通過性と子宮内腔の形をレントゲン撮影で確認します。一般的には痛い検査になっていますが、当院ではなるべく痛みを軽減させる工夫をしています。具体的には、造影剤の注入には自動ポンプを使用し、時間をかけてゆっくりと低圧で造影剤を子宮内に注入するようにしています。

正常な状態の卵管
正常な状態の卵管

両側の卵管の通過性は良好です(写真参照)。

卵管通過障害のある例 検査一日目
検査二日目

右卵管が閉塞しています(写真参照)。

検査二日目
卵管通過障害のある例 検査一日目

前日に注入した造影剤が骨盤内にまんべんなく拡散し、問題ありません(写真参照)。

検査を行う時期生理後~排卵期、排卵後

経腟超音波検査

子宮や卵巣に妊娠に影響するような異常がないかを確認します。また、タイミング指導や人工授精を行う際には、超音波検査で卵胞の大きさを計測し、排卵日を推定します(卵胞チェック)。卵胞チェックは1周期で2~3回行うことが多いです。

検査を行う時期排卵期

フーナーテスト

精子と排卵期のおりものの相性をみる検査です。具体的には、おりものを注射器で吸い取り、顕微鏡で精子の数と動きをみます。フーナーテストの結果が良くないときは、人工授精をお勧めします。

検査を行う時期いつでも検査可能

精液検査

ご自宅で採取していただいた精液を、当院にご持参いただきます(原則2時間以内)。検査前は数日の禁欲期間をもうけて下さい。

当院で行う不妊治療

  • タイミング指導
  • 洗浄人工授精
  • 投薬治療

タイミング指導

生理終了後より、基礎体温表と超音波検査による数回の診察で、排卵日の推定をします。精子検査や卵管の検査など特に目立った原因が見当たらないときは、最初にタイミング指導を行います。不妊治療というと、人工授精や体外受精などの医療行為を思い浮かべる方も多いと思いますが、実際にはタイミング指導だけで妊娠することもよくあります。この方法による治療期間の目安は6カ月~1年ですが、ご希望により2~3カ月であったり、1年半であったりもします。

洗浄人工授精

洗浄人工授精とは、洗浄した精子を子宮の中に送り込む治療法です。タイミング指導との相違点は、精子が腟に入るか、子宮に入るかというところです。精子が女性の体内に進入するプロセスは通常の性行為とは異なりますが、その後の受精と着床については自然な経過で妊娠が成立することを期待します。粘液が少ない方やフーナーテストが不良の方は洗浄人工授精の適応です。

投薬治療

排卵周期やホルモンバランスを整えるために、排卵誘発剤やホルモン剤、漢方薬が有効である場合があります。漢方薬は西洋薬との併用が可能なため、当院では不妊症の方にも漢方薬を処方いたします。